そもそも今日はノリ気じゃ無かった。


映画にもなれない、
煮え切らない二人の関係は、
今更、何も変わりそうにない。


、と思う。
だけど二人で会うことが嫌いなわけじゃない。
私のことをよく気遣ってくれてる。
その気持ちだけは十分過ぎるほど、嬉しい。


もっとどうでもいいことを、
どうでもよく話してみたい。
お互いの顔色伺うなんて、もう辞めたい。


、なんて考え込んでたら、
知らない間に、時計は二時を過ぎていた。


大急ぎで仕度して、バスに飛び乗ったけど、
待ち合わせの時刻には、
到底間に合いそうに無い。


今日も待ち合わせの何分も前に来て、
じーっと暇をつぶしてるだろう彼の姿が目に浮かぶ。


案の定、彼の背中は雑誌コーナーの前で、
じっと止まっていた。


少し、悪かったな、と思いながら声を掛ける。
「遅れて、ごめん。」


振り返るムサ男君は、少し困惑した様子で、
「いいよ。でも、何してたの?」
と言った。